「PBR」1倍割れの株を狙って買うと良いって聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
そもそも「PBR」とは?1倍割れとはどういう意味なのでしょうか?
この記事では、PBRについて解説していきます。
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PBRとは
PBRとはPrice Book-value Ratioを略したもので、株価純資産倍率のことをいいます。
株価が1株あたり純資産の何倍かを表す指標です。
一般的には現在の株価が企業の純資産に対して割高か割安かを判断するために利用されます。
PBRの調べ方
PBRを調べ方として次の計算式を使います。
PBR⁼株価÷1株当たりの純資産額
(例)
株価 1,200円1株あたりの純資産が600円の場合
PBR=1,200÷600=2倍になります。
PBRの目安
PBRの目安は一般的に1倍と言われています。
PBRが1倍以上は割高、1倍未満は割安と考えられます。
したがって割高であれば企業の株価が純資産に比べて高く評価され、割安であれば企業が低く評価されていると判断できるでしょう。
PBRは企業の価値を判断する目安になりますが、業種によって評価が違うことがあります。
したがって、PBRだけではなく企業の業績や市場状況なども考慮して投資するかを判断することが重要になります。
PERとの違い
PERは株価が1株あたり純利益の何倍かを表す指標です。
PBRもPERも企業の資産価値を評価する指標として利用されますが、それぞれ純資産と純利益を根拠として評価している点が違います。
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PBR1倍割れの問題点
2023年3月に東京証券取引所より「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」が発表されました。
その中で上場企業の多くでPBR1倍割れが起きていることに触れています。
PBR1倍割れにどのような問題点があるのでしょうか。
PBR1倍割れの問題点①企業の将来が期待されていない
PBR1倍割れということは、その企業に成長する余地がない、経営者には事業を成長させる力がないと投資家が判断していることになります。
また、PBR1倍割れが一時的なものではなく、長期間にわたると会社の清算手続きに入ってもらった方が損が少なくて済むとまで思われてしまいます。
PBR1倍割れの問題点②日本はPBR1倍割れの企業が多い
プライム市場とスタンダード市場には約3,300社が上場していますが、そのうち日本の企業の約6割がPBR1倍割れをしています。
有名企業である日本郵政や日本製鉄、トヨタ自動車、本田技研工業など2023年3月30日時点でPBR1倍割れとなっています。
PBR1倍割れの企業をこのまま放置すると海外の投資家から日本の企業は企業価値を高めたり、株価を上げようとする向上心が低いので魅力がないと思われる危険があります。
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よって、企業価値の向上を実現するために経営者の資本コストや株価に対する意識改革が必要と指摘されました。
東京証券取引所が要請したPBR低迷の改善とは
2023年3月に東京証券取引所から「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」というPBR低迷の改善策を開示し、実行するよう要請しました。
東京証券取引所が要請したPBR低迷の改善策の内容
現状分析
- 企業が資金調達した時にかかる資本コストや、総資本や自己資本と利益がどう関連しているのかを表す資本収益性を的確に把握する
- 資本コストや資本収益性の内容やPBRやPERなどの市場評価など、自社の現状に関して取締役会で十分な分析・評価を行う
計画策定・開示
- 改善に向けた方針、具体的な到達水準や時期、1株当たりの成長率、目標・計画期間、具体的な取組みを取締役会で検討・策定する
- 資本コストを上回る資本収益性が達成できているかなど、資本コストの考え方や計算手法、算出の背景にある考え方などについて投資者にわかりやすく説明する
取組みの実行
- 計画に基いた資本コストや株価の動きを見ながら把握するなどの現状を意識した経営を推進する
- 収益力や資本効率などに関する目標を実現するために、具体的に何を実行するのかについて投資者に分かりやすく伝わるよう、積極的な対話を実施する
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PBR1倍割れが改善した企業
東京証券取引所が2024年1月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表を公表しました。
その中でPBR1倍割れが改善した企業をピックアップして表にまとめました。
企業名 | 2023年3月期のPBR | 2024年4月26時点のPBR | コーポレートガバナンス(CG) |
富士フイルムHD | 0.97倍 | 1.35倍 | 富士フイルムHDのCG |
鹿島建設 | 0.74倍 | 1.23倍 | 鹿島建設のCG |
東急不動産HD | 0.66倍 | 1.11倍 | 東急不動産HDのCG |
野村不動産HD | 0.78倍 | 1.11倍 | 野村不動産HDのCG |
三菱商事 | 0.99倍 | 1.62倍 | 三菱商事のCG |
トヨタ自動車 | 0.9倍 | 1.45倍 | トヨタ自動車のCG |
日本電気 | 0.84倍 | 1.52倍 | 日本電気のCG |
積水ハウス | 0.99倍 | 1.31倍 | 積水ハウスのCG |
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PBR1倍割れに関するよくある質問
PBR1倍割れに関するよくある質問を集めてみました。
PBRが1倍割れの企業は上場失格ですか?
PBR1倍割れの企業は市場から「株主価値を毀損し、事業を続けるより解散した方がいい上場失格状態」とみなされています。現状は日本の上場企業の約6割がPBR1倍割れの状態です。
PBRが1倍割れなのはなぜ悪いのですか?
「PBRが1を割る・下回る」ということは、理論上は株式価値よりも解散価値の方が高いとみなされます。今後事業継続して得られる価値よりも、会社が解散した場合に株主に分配される金額が高いと評価されているということになります。
PBRが1倍割れしている企業は何社ありますか?
2024年4月時点で、PBR1倍割れしている企業は1,631社。2023年3月にPBR1倍割れだった企業1,800社のうち169社が改善しました。
PBRが1倍になるとどうなる?
PBR1倍とは、適正価格であり基本的な目安にもなります。