株式の上場廃止について解説!これまでに上場廃止した有名企業は?

上場廃止と聞くとマイナスなイメージを持ちやすいですが、上場維持費用の削減や経営の自由度が増すなどのメリットもあります。
有名企業も上場廃止をしていますが、実は企業自らが申請している場合もあります。

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ミニぶた
ミニぶた
こんにちは、ミニぶた(@mini__buta134)です。みるる、上場廃止ってネガティブな言葉に聞こえるけどメリットもあるみたいだね。
ミニぶたちゃん、上場廃止は経営破綻の場合もあるし、企業自ら廃止を申請することもあるんだよ。上場廃止について詳しく解説していくね!
みるる
みるる
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上場廃止とは?

ニュースなどの情報番組で聞くことのある「上場廃止」という言葉ですが、上場会社が証券取引所での売買の対象から株式を除外することを言います。
早速、廃止基準などについて見ていきましょう。

上場廃止の基準

上場廃止は以下のような基準が定められています。

①上場維持基準に適合していない

上場を維持するためには、上場維持基準を満たしていなければなりません。
東京証券取引所にはスタンダード市場、プライム市場、グロース市場があり各市場ごとに上場維持基準があります。

項目 スタンダード市場 プライム市場 グロース市場
株主数 400人以上 800人以上 150人以上
流通株式数 2000単位以上 20,000単位以上 1,000単位以上
時価総額 上場から10年経過後40億円以上
流通株式時価総額 10億円以上 100億円以上 5億円以上
売買代金 1日平均売買代金2,000万円以上
売買高 月平均売買高10単位以上 月平均売買高10単位以上
流通株式比率 25%以上 35%以上 25%以上
純資産の額 純資産が正

上記の維持基準を満たしていない状態から原則1年以内に再度、上場維持基準を満たせなかった場合に上場廃止となります。
なお、基準を満たしていない場合、改善へ向けた取り組みや実施計画の提出が3か月以内に必要です。
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②有権証券報告書の提出が遅延した

有価証券報告書とは、株式を発行する上場企業が、事業や企業の状況、財務諸表などの情報を開示する書類です。
この報告書は事業の年度が終了した3か月以内に提出する義務が課せられています。
しかし、締め切りから1ヶ月過ぎても提出されない場合は遅延となり上場廃止基準に該当してしまいます。

③虚偽の記載や不適正意見など

有価証券報告書などに虚偽記載をした場合や監査報告書または四半期レビュー報告書に不適正な意見、意見の表明をしない旨などの記載をした場合、上場廃止基準を満たすことになります。
虚偽や不適正意見を記載した企業は、上場を廃止しなければ市場の秩序を維持できないと判断されるためです。

④特設注意市場銘柄に該当した

特設注意市場銘柄とは、上場廃止とまではいかなくとも、企業の内部管理体制を改善する必要性が高いと判断した場合に指定する銘柄です。
指定された銘柄は内部管理体制が改善する見込みがないと判断された場合、上場廃止となります。

⑤上場契約に違反した

上場会社が上場契約に関する重大な違反をした時や、新規上場申請などの宣誓事項に違反があった場合に上場廃止になります。
また上場の申請に係る申請書の事項に違反がある場合、1年以内に新規上場基準を満たしているかどうかの審査に落ちた場合も上場廃止となります。
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上場廃止をした有名企業

理由は様々ですが、上場廃止をした有名企業を表にまとめてみました。

上場廃止有名企業

歴史をたどると数えきれない程の上場廃止をした有名企業がありますが、ここでは過去3年間を遡ってみたいと思います。

上場廃止日 銘柄名 上場廃止の理由
2021/08/30 大塚家具 ヤマダホールディングスの完全子会社化
2021/12/29 日本通運 NIPPON EXPRESSホールディングスの完全子会社化
2022/02/14 ニッセイ 株式等売渡請求による取得
2022/08/26 近鉄エクスプレス 株式等売渡請求による取得
2023/09/28 SBI新生銀行 株式の併合
2023/12/01 伊藤忠テクノソリューションズ 株式の併合
2023/12/20 東芝 株式の併合
2024/04/09 大正製薬ホールディングス 株式の併合
2024/05/17 ベネッセホールディングス 株式の併合
2024/06/27 サマンサタバサジャパンリミテッド コナカの完全子会社化 (注)コナカによる完全子会社化(株式交換)が実施されない場合は、有価証券上場規程第601条第1項第5号a(不適当な合併等)に基づき、2024年7月11日が上場廃止日となります。

上場廃止の理由について見てみると、経営破綻などの理由で上場廃止する企業は少なく、ほとんどが完全子会社化や株式の併合によるものであることが分かります。
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上場廃止のメリット・デメリット

上場廃止にあたってはメリット・デメリットがあります。

〇メリット
  • 上場廃止の理由によっては株価が上がる
  • 特定の口座の株式の上場廃止で損益通算できることがある
  • 完全子会社化が理由の上場廃止は株の売買が継続できる
×デメリット
  • 株式が売買できなくなる
  • 理由によっては株価が下落する
  • 株が売りたい時に売れない可能性がある

上場廃止のメリット

上場廃止のメリットから見ていきましょう。

・上場廃止の理由によっては株価が上がる

上場廃止には様々な理由がありますが、完全子会社や合併など経営戦略として上場廃止された場合儲けが出ることがあります。
TOB(買付期間・買付価格・買付予定株数を公表し、株主から直接買い付けること)が行われた場合、通常の市場価格にプレミアムを上乗せした買付価格を設定するため、プレミアム分が儲かることになります。

・特定の口座の株式の上場廃止で損益通算できることがある

特定口座で管理していた株式が上場廃止になった場合は、確定申告をすれば条件によってみなし譲渡損として他の上場株式と損益通算できる場合があります。

・完全子会社化が理由の上場廃止は株の売買が継続できる

上場廃止が完全子会社化が理由である場合、新たな上場会社の株式に交換されます。
交換された新たな上場企業の株式は今までと同様に売買を継続して行うことができます。

上場廃止のデメリット

上場廃止のデメリットについて見ていきましょう。

・株式が売買できなくなる

上場廃止を行うと、株式が整理銘柄に指定され1ヶ月が過ぎると株式が売買できなくなります。

・理由によっては株価が下落する

上場廃止には様々な理由があります。経営破綻などの理由で上場廃止が行われた場合、株式の価値はなくなる可能性が高く、上場廃止までに株価が下落してしまいます。

・株が売りたい時に売れない可能性がある

上場廃止になると、株の売買ができなくなる前に売却したいという人が増えるため、なかなか売れない可能性があります。
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上場廃止後はどうなる?株を持ち続けることもできる?

上場廃止基準に該当すると、上場廃止になります。
上場廃止後はどうなるのか、株は持ち続けることが出来るのか解説していきます。

上場廃止後

上場廃止後から1ヶ月間は「整理銘柄」というものに指定されます。
整理銘柄とは、上場廃止になると流通性が低下するため、投資家に注意を促す制度のことで、1ヶ月を過ぎると取引が終了し、株式などの売買ができなくなってしまいます。
上場廃止となった株式は証券会社の預かり残高から抹消され、株式を発行している会社や管理する信託銀行の預かりとなります。

上場廃止した株は持ち続けることができる?

上場廃止した株はどのような対応をすれば良いのか3つの方法を説明します。

①株式公開買付(TOB)に応じる

上場廃止が決定すると、ほとんどの企業が株式公開買い付け(TOB)を実施します。
経営戦略が理由で上場廃止をする企業は、TOBにプレミアが付与されるので通常より高値で売却できる可能性があります。
また、TOBに応じると証券会社での手数料が無料になることもあります。
公開された株価と保有している株価を比べて得する方を選ぶと良いでしょう。

②すぐに売却する

上場廃止が決定し、1ヶ月が過ぎると売却が出来なくなるので、倒産や経営破綻を理由に上場廃止をする企業の株価は売却した方が得策でしょう。

③株を持ち続ける

上場廃止が決定してから廃止日までに株を持ち続けることは可能です。
しかし、廃止日を迎えると該当する発行会社や上位株主に強制的に取得され、株主には対価として金銭が支払われます。
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上場廃止した企業が再び上場することはある?

一度上場廃止した企業は、審査基準を満たすことで、再び上場することができます。ただ、再び上場するには新規上場より審査基準が厳しくなります。

再上場するための審査基準

上場廃止した企業が再び上場するための審査基準をまとめてみました。

項目 スタンダード プライム グロース
株主数 400人以上 800人以上 150人以上
流通株式数 2,000単位以上 20,000単位以上 1,000単位以上
流通株式時価総額 10億円以上 100億円以上 5億円以上
流通株式比率 25%以上 35%以上 25%以上
財政状態 連結純資産が正 連結純資産50億円以上
かつ単体純資産の額が負でないこと
利益の額 最近1年間における利益の額が1億円以上であること 最近2年間の利益の額の総額が25億円以上であること
または最近1年間における売上高が100億円以上である場合で、かつ、時価総額が1,000億円以上となる見込みのあること